Ⅲ-1.フッ素樹脂放熱シートサンプルの写真
Ⅲ-2.超耐熱性フッ素樹脂放熱シート
近年LED照明.HV(ハイブリト)やEV(電気)自動車用機器の高機能化・高精度化が進んでおり、特にインバーター等では機器の小型化・高出力化が求められています。
その中でも自動車用パワーデバイスとしてのインバーターは大電流高出力のため極めて大きな発熱を伴います。現在パワー半導体(IGBT)とヒートシンクの間にはシリコーン樹脂入り放熱シートが使用されています。耐熱性の限界温度は180℃です。
更に次世代デバイスとしてSiからSiCに代わるとインバーター電力ロスが75%低減されます。また、Siデバイスは耐熱性の設計温度は100℃以下ですが、SiCは高温動作温度が300℃以上に設定出来るため水冷を空冷化することができ、装置の小型化が可能になります。放熱シートの耐熱性は250℃以上の要求があります。
当社は耐熱性が250℃以上のフッ素樹脂に注目し、シート化の基礎研究を行ってきました。これまでフッ素樹脂はC-Fの共有結合が強く、難接着性で粉体フィラーとの接着力が無いためシート化が不可能と思われていましたが、長年培った粉体表面処理技術でフィラーとフッ素樹脂の接着を可能にしました。
当社では、佐賀県の研究開発補助金を受け、フッ素樹脂放熱シートの試作に成功しております。
シリコーン樹脂入り放熱シートは押し出し成形で作成されシート厚みが200μですが、フッ素樹脂放熱シートは熱圧着プレスを用いるため70μ厚みのシートができ、更に高熱伝達(高放熱性)が期待できます。
現在、アルミナフィラー(30 W/m・k)フッ素樹脂放熱シートは小型サンプル試作品ができています。
該放熱シート熱伝導度は2.6W/m・K です。
今後、更に熱伝導度を上げるため高熱伝導度のAlNフィラー(180 W/m・k)等の使用を検討しております。
透光器等の高出力LED(10数万ルーメン)照明装置に対しても、絶縁・耐熱放熱シートが有効です。